
【文字起こし】#009 「フジロック」について語る|そもそもフジロックって何なのか【CULATIVE RADIO 手前のカルチャー】
導入
は)はい、この番組は映画・音楽・アニメ・漫画などカルチャーをもっと知りたいけど、どこから触れればいいかわからないという方へ向けて、カルチャーをもっと身近に感じるための入り口の手前までご案内していく番組です。私がCULATIVE編集室のはっしーこと橋本拓哉です。
上)この番組で初めてカルチャーという言葉を聞いた上水優輝です。よろしくお願いします。
は)よろしくお願いします。はい、というわけで始まりましたCULATIVEのラジオです。最近のカルチャーインプットなんですけど、これも2本目なので先ほど話した通り特になくて。ただこれが配信される頃、おそらくアカデミー賞の発表もされているでしょうから、何だったんでしょうねっていう感じですけども。
上)あー確かに確かに。
は)というわけで今回は、フジロックって何なの?っていうのを整理していきたいなと思います。全5章でやっていきます。まず音楽フェスの起源、でフジロックの起源、どんな場所なのか、他のフェスと何が違うか、フジロックってどういう意味があるのかみたいな感じで進めていきたいと思うんですが。
上)いやお願いします。僕フジロック一回も行ったことないですからね。
は)「フジロック」は聞いたことあるなって人いっぱいいると思う。あとニュースとかでもなんかやってますよね。「新潟でフジロックが開催されました」ってチラッとくらいは言うかもね。なんでそんなにみんなフジロックフジロック言われてるのか。
上)手前ですね。だいぶ手前ですね。フジロックはねみんな聞いたことあるよ、やっぱり。
音楽フェスの起源:ウッドストックとグラストンベリー
は)まず音楽フェスの起源ですね。えーとまあいろんな説があるんですけど、一番よく言われてるのはグラストンベリーとウッドストックって言われてます。まず一つ目、アメリカのウッドストックなんですけど、これは結構聞いたことある人多いんじゃないですかね。1969年、ロックの年ですね。開催されたやつで、ベトナム戦争の反対運動と重なって、ニューヨークの農場で開催された野外音楽祭なんですよね。ヒッピーの祭りって言われてます。3日間で約40万人が集まって、ジミ・ヘンドリックスやジャニス・ジョプリンとかが出演しました。音楽と平和と愛を掲げたカウンターカルチャーの象徴として語られてます。チケットが足りなくて人が殺到しすぎて柵を壊して入ってったとか、あとゴミがすごかったとか、まあそういう逸話がありますね。
上)ステージでもそうでしょ。LSDをはちまきに巻いてとか(笑)。
は)まあ良くも悪くもそういうね、ロックの象徴として語られるウッドストックがまあ最初の音楽祭だったっていう説があって。で、もう一個グラストンベリー。イギリスの農場で毎年やってるフェスですね。これも70年からやってるそうなんですけど、もう今やセレブのパーティーみたいな感じになってるんですよね。
上)え、そうなんだ。
は)記憶に新しいのはビヨンセとかですかね、5、6年前ですけど。
上)ビヨンセが農場で歌ってんの?
は)そう。あの遠くに観覧車があるやつ。まあそういうフェスがありますと。でフジロックはどっちかって言ったら、このグラストンベリーをモデルにして日本でやろうっていうやつなんですよね。
上)あ、そうなんだ。
は)ウッドストックはもう1回限りの伝説の回みたいな感じ。90年代に復活が1、2回あってるんですけど、やっぱりその69年を超えることはできなくて、伝説のウッドストックみたいな象徴として今語られてるんですけど。それに対してグラストンベリーはもう毎年続く文化っていう感じで。
上)なるほどね。
フジロック誕生と日本の野外フェスの歴史
は)フジロックのスタートは1997年なんですよね。株式会社スマッシュっていう音楽ライブとかやってるところが、海外アーティストを日本に呼んで日本でもグラストンベリーみたいな野外フェスやりたいって構想して実現したのが97年って感じです。なのでフジロックが日本で最初の音楽フェスっていうわけじゃなくて、以前にも日本のロックフェスティバルって呼ばれるものはいくつかあるんですよね。
上)え、例えば?
は)えっとですね「箱根アフロディーテ」っていうのが日本版ウッドストックとして行われましたね。でヘッドライナーがピンク・フロイドだったらしいですね。
上)うわぁーまじで?
は)霧が立ち込める湖畔の中でピンク・フロイドが演奏するっていうのが、結構伝説として語られてるんですけど。あと「全日本フォークジャンボリー」っていうのが同じぐらいの年にあって、これもウッドストックを目指して企画されてやったやつで、吉田拓郎がパフォーマンス中にPAトラブルがあって音が出なくなるんですよね。拓郎ってアコギなのでマイクなしで「人間なんて」を歌い始めたら、観客がその状況に熱を持っちゃってめちゃくちゃ盛り上がって、その一曲を永遠とやるみたいな伝説があるらしい。
上)へー。
は)そういうのはちょこちょこあるんですよ。でそれが70年代の話で、80年代に入ってもボン・ジョヴィとかが来たりとか、定期的にそういう野外フェスっていうのはあるんですけど、どれもやっぱり単発で終わってるんですよね。やっぱバブルのお金に依存してやったやつとかだから、バブル崩壊後もう誰もできなくなっちゃったんですよ。
上)なるほどね。そっかバブリーな感じで一回ポンとお金集めてなんかやってた、単発でいっぱいあったみたいな感じ。
は)でそんな中、株式会社SMASHは毎年開催できる音楽フェスを作りたい、できたのがフジロック。それが今も続いてるっていうので、日本を代表する音楽フェスみたいな感じになってるっていうところですね。
上)なるほどねー。継続できているからこそ「現存する最古の」みたいな感じ。
は)そうそう。で、とはいえですね、フジロック第1回目はもう伝説になっていて。第1回目は本当に富士山の麓、天神山スキー場っていうところで開催されたんですよ。まあそこで開催されるからフジロックっていう名前だったんだと思うんですけど。えーと、ヘッドライナーがレッチリですね。ボーカルのアンソニーは骨折状態で出演っていう感じだったんですけど。ただ当日台風が直撃して、もう暴風雨の中開催されて。参加した人たちもそもそも音楽フェスに初めて行くような人たちで、雨具の準備とかもしてない中暴風の中レッチリを見て。シャトルバスとかもないんですよ富士山のところで。陸の孤島状態になっちゃって、多くの人がダウンするっていうことになって、もう地獄絵図だったらしいですよね。で2日目はもうそれのせいで中止になったんですよ。
上)うわーそうか。
は)2日目はベックとかも確か出る予定だったんですけど中止になって、大失敗ですよね。
上)いやもう失敗どころか事件ですよね。
は)事件です(笑)。だけどもうフェスとは何なのかが誰も分かってない状態だったんで、壮絶だったらしいです。
上)うわーその失敗は結構ねつらいものがあるよね。
は)こうね意気込んで第1回目やったら台風直撃しちゃって。多分相当精神的にもやられますよね。で第2回目が98年に東京・豊洲で行われるんですが、なぜ心が折れなかったんですかねえ。
上)いやこのまま終わるわけにはいかんってなったんでしょうけど。えーすごいね。
は)まあその自然の中でやるっていうのを一回諦めて東京の豊洲で開催するんですけど、この時伝説になってるのが、ミッシェル・ガン・エレファントが演奏中止するぐらいお客さんが前に押し寄せてきてすごい危険な状態だったっていうのが第2回。
上)全然1回も2回も危険やん。
は)第3回目から新潟の苗場スキー場に場所を移しまして、それが今まで続いてるっていう感じですね。スマッシュの代表の日高さんっていう人がいるんですけど、その人が地図を見てここだったらステージが複数組めると思って、地元の人たちにめっちゃアプローチしに自ら行ってずっと交渉し続けて、やっと地元の住民の人たちからも迎え入れられて今はウィン・ウィンの関係でできるようになったっていうところなんですよ。なので最初は反対も多かったらしいんですよね。ロックフェスって言ったらいかついやつがいっぱい来るんじゃないかとか。
上)いかついやつ来る前にさ、1回目2回目で相当危険の目にあってるフェスをそこに持ってきたら嫌がるよね普通の感覚だとね。
は)やっぱその苗場スキー場って冬はスキーで盛り上がるけど夏の収入源がないから、経済効果がすごいでかいんですよね。それでいろいろ交渉して「じゃあやっていいよ」ってなったというところですね。
上)すごい頑張ってるね。
苗場という場所:会場の規模と過ごし方
は)そんなフジロック、どんな場所かと言いますと。苗場スキー場ですね。新潟の山間部にあって最寄り駅がJR越後湯沢駅です。東京からだとだいたい新幹線で2時間ぐらい。そこからシャトルバスでだいたい1時間ぐらいかかります。決してアクセスがいいとは言えないんですけど、逆にそれがフジロックの個性となっているというか、非日常感にはなるかなと思います。全長だいたい4キロぐらいあるんですよね、フジロックの会場って。縦に長いイメージです。ステージだいたい大小合わせて20個ぐらいあります。メインの4〜6個がしっかりとしたステージで、一番でっかいグリーンステージがあって、ホワイトステージがあって、テント型のライブハウスみたいなのがあって、あと民族系とかジャズとかやる渋いステージがあって。その間にDJブースがあったり弾き語りするところがあったりっていう感じですね。
上)なるほど。
は)全長4キロあるのでまあまあ歩きます。ステージとステージの間で30分ぐらい歩きます。その中で川があったりとか森があったりとかするので、一人のアーティストを見に行くっていうよりかは、会場全体を味わうみたいなのがフジロックのいいところなんですよね。あとキャンプサイトがあるんですよ。基本的には3日間キャンプとか宿泊で過ごす人が多くて、アート展示とか夜のクラブの空間とかもあります。音楽以外の要素もある、3日間そこで生活できるように設計されてるフェスなんですよね。
上)なるほどね。
は)それが最初言ってたグラストンベリー的な、フジロックが目指してるところ。とはいえみんながみんなそうはできないので、もちろん日帰りでも全然参加できるんですけど、なんか滞在型のフェスっていう感じですかね。
上)なんかね、好きな人はみんなその泊まりがけで行ってる印象ですけどね。
は)今は便利になったもので、東京からツアーバスとかも出てるので、寝て起きたらフジロック会場で、また乗って寝て起きたら朝家に着くみたいなこともできますね。SNSとかでトレッキングシューズじゃないとダメとか、雨具絶対ないと大変とかいろいろ言われてるんですけど、とはいえもう日本なのでなんとでもなるんですよね。全然サンダルの人もいるし、会場付近にファミマがブースを出してるんですよ。なのでその場で服も買うことできるし、歩いて15分ぐらい行けば温泉もあるのでそこに避難すればいいし。どうにでもなりますっていうのを伝えたい。
上)あれはどうなんですか、テントのチケットみたいなのがあるの?
は)そうです、キャンプサイトチケットが別であって、泊まる人はそれを購入しないといけないっていうところですね。
上)じゃあ泊まる人はみんなテントサイトっていうことだよ。
は)うん基本的には。あとはその会場近辺のホテルとか。車中泊も多いですね。
上)まあ境目がないよね。実際チケットとしてそれさえ持ってったら別にその辺で寝ててもいいわけでしょ究極。
は)あの、朝5時までやってるんですよフジロックって。そのクラブみたいな空間があって。朝5時に会場から放り出されて次入場できるのが朝10時ぐらいなので、その5時間をどうにかできたら会場内にずっと入れるんですよね。
上)すごいね。若い人は体力が無限にある人はだから意外と無防備でもなんとかなると思うんですよね。まあ最悪そこにいる人たちに奢ってもらえばいいからね。コミュ力があれば。
は)そうそう(笑)。自分は初めてフジロック行った時、テント泊4泊5日したんですけど、なんとかなるもんだなと思いましたね。特に近年はあんまり雨が降らなくなってきて、2000年代はすっごい雨のイメージあったんですけど、最近雨降らないんですよねフジロックで。
上)そうなんだ。気候変動。
は)そうだから大丈夫だよって言いたい(笑)。
上)今日の話を聞いてると、音楽めっちゃ好きじゃないとダメみたいな感じがするけど、そうじゃなくてその空間・その時間を過ごすちょっと非日常の旅行みたいな感じでやれば、音楽そんな詳しくなくても楽しめそうですよね。
は)もちろんそうですね。
日本主要フェスとの比較
は)日本の他のフェスと比較したいんですけど。フジロックとよく比較されるのがサマーソニックがありますね。サマーソニックは東京と大阪の都市内で行われる音楽フェスで、フジロックのモデルがグラストンベリーだったとしたら、サマーソニックのモデルはイギリスで行われるレディングフェスティバルとか、そういう都市の中でのフェスティバルなんですね。なので基本日帰りなんですよ。泊まりはないっていうのがサマーソニック。ロック・イン・ジャパン、これは都市でもないけど公園でやってるのでほぼ都市型みたいな感じで日帰りが基本。こっちは邦楽アーティストのみなんですよね。海外アーティストがいないやつで。でもう一個、北海道で行われてるライジングサン。大体この四つが日本四大有名な音楽フェスみたいに言われるんですけど。ライジングサンは邦楽だけなんですけど、フジロックみたいにキャンプすることがほぼメインというか、オールナイトのフェスなんですね。
上)あそうなんだ。ライジングサンっていうぐらいだから日が昇るまでやり続けるっていうことなんだね。
は)ヘッドライナーを見るには日の出まで起きとかないといけないっていう。
上)ヘッドライナーが罰ゲームになってるじゃん。朝5時とかにヘッドライナーなのか罰ゲームなのかがちょっとわからない(笑)。
は)さすがに朝5時にブラフマンはきついですよね(笑)。ただ北海道の大地で日が昇りながら霧がかるらしいんですよ。霧の向こうで日が昇ってくるのがすごい幻想的で、一度行ったら病みつきになるフェスらしいですよ、ライジングサン。
上)行ったことあるんですか?
は)行ったことないんですよ。いつか行きたいなと思ってるんですけど、やっぱね福岡から北海道っていうのはなかなかハードルが高くなっちゃうな。
上)なんかライジングサンに出てるアーティスト、ちょっと尖ってるアーティストが出るイメージがあるんですよ。そんなことないですか?
は)そうですね。ロック・イン・ジャパンが一番大衆向けというか今流行りの人が出るフェスで人を集めやすいと思うんですけど、その次はサマソニかな今は。サマソニは今やEDMとかラップとかそっち系が結構多いイメージ。昔は結構メタルとかそういうイメージでしたけどね。次にライジングサンかな、なんかちょっと尖ったというかインディーズ寄り、文学ファンに刺さる感じというか(笑)。そんな感じですかね。
上)なんか今日のやつで聞くと、それぞれ特色があるんだなっていうのが分かってきた気がする。
フジロックの理念とこれから
は)そうですね。フジロックは特に2000年代は世界一マナーがいいフェスとして、世界的にもすごい有名だったらしいんですよ。世界一クリーンなフェスかな、ゴミが落ちてないっていう。元々掲げられていた「自然との共生」という理念をみんなで守ろうとしてたし、やっぱり第1回・第2回があったからこれ以上失敗できないっていうのと、苗場でやってるからゴミ落とせないなっていう連帯意識としてあったと思うんですよね。
上)なるほどね。これを続けていくためには失敗できないんだ。
は)失敗できないし迷惑かけたらマジで終わるっていうのがあったんじゃないかなと思うんですよね。その環境の良さにみんな当てられてちゃんとしようって思ってたのか。そのおかげで世界一クリーンなフェスとして名を馳せてたんですけど、ただ残念ながら近年はゴミ問題が増えつつあるらしい。
上)そうなんか。ちょっと30周年とかなんじゃないの97年。
は)そうですねそろそろ30って感じですかね。今年はサマソニが25周年で結構盛り上がってますね。
上)あーそうですか。
は)フジロックは単なる音楽イベントというよりか、フェスっていう非日常を日本に輸入して定着させた文化なので、一人のアーティストを見に行くでもいいですけど、できればその空間自体を楽しむっていう感じで行っていただければいいかなと思います。
上)そうですね。僕もなんかもし行くならっていうのを考えたら、日帰りとかで行くんだったらサマソニとかそういうとこにして、ちゃんとフジロックに行くときはある程度泊まりがけでゆっくりその空間をいろいろ楽しめるような、贅沢な時間の使い方ができる感じで行った方が楽しめるフェスなんだろうなっていう印象を受けましたね。
は)そうですね、その通り。特にフジロックは民族音楽とかジャズとか、普段聴かない国の音楽が鳴ってるので、結構貴重な体験になると思うんですよね。どこの国から来たんっていう人とか、ジャマイカから来てるレゲエとかもあるんですよ。本物はこれがグルーヴかっていう体験をしに行くのもいいんじゃないでしょうか。
上)いいですね。
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は)フジロック回でした。ありがとうございました。それではまた。
上)はいありがとうございました。

