
【文字起こし】#007 「新世紀エヴァンゲリオン」について語る|30周年、90年代の空気、そして伝説になった理由【CULATIVE RADIO 手前のカルチャー】
イントロ
は)はい、この番組は映画・音楽・アニメ・漫画などカルチャーをもっと知りたいけど、どこから触れればいいかわからないというような方へ向けて、カルチャーをもっと身近に感じるための入り口の手前までご案内していく番組です。はい、私がCULATIVE編集室のはっしーこと橋本拓哉です。
上)カルチャーの手前で止まっている方の上水優輝です。よろしくお願いします。
は)よろしくお願いします。
今回のテーマ:新世紀エヴァンゲリオン
は)というわけでですね、先週のブゴニアから引き続き今撮ってるわけですけれども、ブゴニアはですね、宗教ですとか信仰とかの話だったと思うんですけど、信仰・宗教といったら聖書ですね。はい。今回のテーマは、聖書ネタも多いこちらの作品です。
上)何ですか?
は)エヴァ。新世紀エヴァンゲリオンについてです。
上)エヴァンゲリオン。エヴァンゲリオンですね。手前じゃないですか、これ結構多分。
は)あのですね、現在2月中旬なんですけども、月イチエヴァと称しまして、これまでの映画をリバイバル上映してるんですよね、エヴァが。今年がシリーズ30周年ということで、改めてエヴァとは何だったのかをちょっと振り返りたいなという。
上)うんうん。30周年にもなるんだね。
は)そうなんです。ただですね、ちょっと今回あの、今から話す内容は、90年代のテレビシリーズと劇場版までとさせていただきます。どうですか、なんかエヴァ、知ってますかエヴァ。
上)エヴァはね、多分そのテレビのやつは、なんか見たよ。テレビ、リアルタイムというよりは、どうやって見たんだろう、なんかわかんないけど。20歳ぐらいの時にバーって一通り見て、けどこれ僕はあるあるなんですけど、断片的にそのシーンを覚えてるだけで、じゃあ何だったのかっていうその一連の文脈はほとんど忘れているので、なんか印象に残ってるシーンがいくつかあるだけっていう状態です。
は)なるほど。
エヴァとの出会い
は)自分はですね、中学校の頃、2000年前後なんですけど、後追いですよね。あの、ビデオか借りて見て、めちゃくちゃハマったんですよね。
上)うん。
は)で、主人公と当時中学生だったんで年齢が近くて、多分感情移入しやすかったっていうのもあると思うんですけど、なんかこう人生を決定付けられたと言っても過言ではない作品で。逃げちゃダメだって言って。そう、あのね、エヴァのせいでオタクの道に行ったと言っても過言ではない。
上)えー、そうなんだ。
は)あの、カセットテープに音だけ入れて聞いたりとかしてました。
上)何してんの?(笑)
は)そんぐらい当時は好きだったんですけどね。
エヴァンゲリオン基本情報
は)じゃあそんなエヴァンゲリオンの基本情報なんですけど。えーとですね、放送開始が95年なんですよね。テレビシリーズが95年で、えーと26話。で、終わって。
上)そんなもんなんだ。おめでとうまで26話ぐらいと思う。
は)そうそうそうです。で、えー、97年に劇場版。2年後ですね。劇場版の『シト新生』というやつと、えーと、『Air/まごころを、君に』という2本。劇場版がありまして。で、そこで一旦終わるんですよ、その新世紀エヴァンゲリオンっていう名前では。
上)うんうん。
は)で、2007年から、もう一度、まあリメイクですよね。エヴァをやりだして、2021年に、えーと、4作。序・破・Qの新劇場版4作で、2021年にもう終わりっていうのが、エヴァの大体の流れなんですけど。
上)はいはい。その最後の、なんか、4つぐらいのやつは、全くノータッチですね。
は)うんうん。でですね、まあ、制作は、あのーガイナックスっていう会社だったんですけど、残念ながら、あのー、去年倒産してしまいまして、なんか経営破綻したそうです。
上)うんうん。
は)で、まあジャンルとしては、あのーロボットアニメと言われるんですけど、エヴァはですね、ロボットアニメの形式を借りた、結構、心理物語というか内面世界の話なんですよね。
上)うんうんうん。
は)っていうジャンルですね。
庵野秀明という人物
は)で、監督、庵野秀明。はい。で、まあ、庵野秀明という人物はですね、あのーいわゆるオタク第一世代って言われてて、まあ最初のアニメブームの時に若かった人。
上)うん。
は)で、特撮愛がすごいんですよね。うん。で、あとはまあ、ガンダムとかヤマトとかにすごい大きな影響を受けたって公言してて。えーと、元はアニメーターなんですけど、そっから監督になってる人です。なんかね、あのー、ナウシカの、風の谷のナウシカの巨神兵とかの作画とかも、庵野さんがやられてるんですね。
上)あ、そうなんだ。
は)うん。で、そんな庵野監督。庵野監督の精神状態の投影って言われてますね、エヴァ。エヴァンゲリオンは庵野の中を覗いてる作品と言える。
上)親子関係なんかあったんですかね。
は)なんかあったんですかね。あ、でもなんかそういう、ほとんどエヴァに出てくる話は、なんか私小説的なものが多いらしいです。
エヴァのあらすじ
は)まあ、エヴァンゲリオン、ほとんど知らないという人に向けてあらすじを話しますと、はい。西暦2015年ですね。もう過去になっちゃいましたけど。
上)そうだったんだ。
は)2015年、使徒って呼ばれる謎の、あのー生物というか存在が襲来するんですよね。で、それを、まあ人型兵器、えーとエヴァンゲリオンで倒す。で、その倒すエヴァンゲリオンには、まあ14歳の少年少女が搭乗してるっていう話。で、ここまではまあロボットものの王道っていう感じなんですけど、まあエヴァはロボットじゃないんですよね。
上)うん。
は)人造人間なんですよね。だけど、めっちゃでっかい人間なんですよね。で、エントリープラグって呼ばれるコックピットに乗り込んで、こう脊髄のところに入っていくんですよね。
上)マトリックスみたいな感じじゃないですか。マトリックスもなんかこう。
は)まあマトリックスの方が後だと思うんですけど。
上)ああ、そうなんだ。じゃあ影響受けてんの?どうなんですかね。
は)で、まあエヴァとパイロットがシンクロすることで動くんですけれども、まあそのシンクロっていうのが結構、ロボットアニメにはあんまりなかった概念だと思うんですよね。要するにシンクロしないとエヴァは動かなくて。ただシンクロすると痛みとかっていう感覚もシンクロしちゃうから、腕が取れたら痛い。
上)うん。
は)っていうのがエヴァですね。
エヴァの何がすごかったか
は)で、まあそうですね。エヴァンゲリオン何がすごかったか。
上)何がすごかったんですか?
は)えーとですね、まず作品自体の話をすると、あの作品の演出というか、それがもう完全に厨二っぽいんですよ。あのね、まずめちゃくちゃクラシック使うんですよね。ハレルヤとか、第九とか、G線上のアリアとか。めちゃくちゃクラシック。クラシック使うっていうのと、まあその聖書とか、宗教用語とか、心理学用語とかをめっちゃ使うんですよね。ロンギヌスの槍とか、死海文書とか。まあ使徒の名前はあの聖書の天使の名前から取ってるし、もうその辺がオタク心をつかみまくるっていう。
上)ああ、そうなんだ。それってオタク心をあれするんだ。
は)厨二病ですよね。なんかかっこいい。多分そこがね、まず一個すごいところで、あとね、ストーリーが暗いんですよね。
上)ああ、暗いイメージ、印象です、僕も。
は)うん。まああらすじとして、主人公の碇シンジくんが、まあ父親の碇ゲンドウという人物とは別々に暮らしてるんですけれども、急に呼び出しがかかるわけですよね。来いと。で、その父親の仕事はNERVっていう機関の司令官で、NERVっていうのは日本国じゃなくて、国連直属の機関なんですよね。で、まあその使徒の殲滅っていうのを主な任務としてやってる機関で、そのお父さん司令官のところに急に呼び出されて、今からエヴァに乗って戦えって言われて、嫌だから、逃げちゃダメだからの、まあ乗って戦うけどすごい怖い思いをする。で、嫌だって言って逃げる。でも頑張るって言って乗る。で、また嫌だって言って逃げる。基本その繰り返しなんですよ。で、ストーリーが進んでっても、碇シンジはあまり成長しないんですよね。
上)うんうん。
は)基本的にずっと嫌だ乗る、嫌だ乗る、繰り返す。でもそういう序盤すごい暗く始まるんですけど、まあそのアスカっていうヒロインですね。まあ第二のヒロインと言ってもいいかもしれないけど、まあそのアスカの登場でちょっと話が明るくなる。
上)うんうん。
は)けど、また後半に行くにつれてどんどん話が暗くなってくっていうのがエヴァの大まかなストーリーで、まあそうですね、そのロボットアニメって、前はもっとマジンガーZとか明るい話だったんですけど、そこを転換させたのがガンダムなんですよね。機動戦士ガンダムのアムロ・レイっていう主人公は、まあ物語の中で結構成長はしてくんですけど、まあその自分の居場所を見つけていく話なんですよね、ガンダムって。ここに帰る場所があるっていうのを見つける話。
上)へー、そうなんだ。
は)そう。で、まあガンダムはロボットなんですけど、ロボットというか兵器なんですよね、あれ。その戦争の兵器なので、ガンダムそのものを描くというよりかは、戦争の中の人間の群像を描いたのがガンダムなんですよ。その道具の一つに過ぎない。
上)あ、そうなんだ。
は)そう。なので主人公アムロ・レイはガンダムに乗るけど、他の人間もガンダムには乗るんですよね。で、たぶんそこの話の影響をすごい強く受けてるんで、エヴァも、ちょっと暗めというか、心理描写に焦点を当てた話になってたと思うんですけど。
伝説になった理由:最終回と劇場版
は)ストーリーが暗い、何がすごかったか演出が中二、暗い。あとはですね、伝説になった理由として、アニメ後半の作画がどんどん崩壊していくっていうのがあって。特に最後の2話、ストーリーの中にあった伏線とか何も回収せずに、訳わからんまま終わるんですよね。なんでそうなったかって言ったら、制作が間に合わなくて大変だったっていう話もあるんですけど、もともとそうする予定だったっていう話もあって。その絵がですね、台本をそのまま映したりとか、なんか過去のアニメのコラージュみたいな感じにしたりとか、明らかに手抜き感というか新しい絵を描いてないっていうのがあって、理由は何であれ最後がもう全部心理描写に振り切るんですよ。シンジくんとか登場人物の自問自答がずっと繰り返されて、最終的に「自分次第で世界はいろんな可能性がある」「ここにいてもいいんだ」「おめでとう」で終わるんで。
上)おめでとう、おめでとう(笑)
は)おめでたくねえよ(笑)めっちゃ非難されて。
上)なんだよって感じで終わるんだ(笑)
は)でその後ちゃんとやりますってなって劇場版が作られるんですけど、ちゃんとやりますって劇場版に向けて制作始まるんですけど公開に間に合わずに、最初の劇場版はテレビ版の総集編プラス1話っていう形で公開しちゃうんですよね。
上)何してんの(笑)
は)めちゃくちゃ非難される。終わらねえじゃねえかって。
上)再放送じゃねえかって(笑)
は)でその後半年後とかにちゃんと最終話をバーンと劇場でやって終わるんですけど、その終わり方も結構内面世界をバーってやった後、最後有名な「気持ち悪い」っていうセリフで終わるっていう(笑)
上)(笑)結局何やったんだそうなるんです。
は)でその結果ですね、通称謎本って言われる考察本ですね、「エヴァンゲリオンとは何だったのか」みたいなのが大量に発生するんですよ。
上)へぇ。
は)良くも悪くも当時こんな話題になるアニメはなかったんですよね、日本に。それで社会現象になったって言われますね。
上)じゃあすごく、いいステップを踏んでいって、最後、問いで終わってる、何も回収せず終わったから、みんながこぞって参加し始めたんだ。「これ物語はこうだ」って。
は)いろんな考察本がいろんなこと言ってるみたいな。
上)すげえ。
改めて劇場版を観て
は)ただね、月イチエヴァで改めて劇場版見たんですけど、今見たら全然わかるというか、ちゃんと作ってるやんっていう。精神的な、内省的な話、他人とは何なのかみたいな話なんですけど、自分っていうのは他人がいてこそ自分になるっていう話、ちゃんとやってるじゃんって思いましたね今改めて見ると。
上)ちょっと難しかったみたいな感じなんですかね、パッと入ってこないみたいな。そうそう。
は)90年代ですよね。90年代といえば、95年にエヴァが始まるんですけど、同じ年に阪神淡路大震災とか地下鉄サリンとか、バブル崩壊してめっちゃ不況だったり、ノストラダムスの終末思想ブームがあったりとか、この辺が全部エヴァと共鳴するんですよね。エヴァの話も、正体不明な敵とか天変地異があったり、世界の終わりとか、その時代感とマッチしたっていうのもエヴァがヒットした要因ではあるかなと思います。
上)なるほど。
エヴァが与えた影響
は)あとはそうですね、その後のアニメ業界とか物語業界に与えた影響がでかいんですけど、まずキャラクターの記号化ですよね。綾波レイとか惣流・アスカ・ラングレーっていう、多分見てない人も名前は知ってるみたいなのがすごい記号化してて。いわゆる無口で謎が多い謎ヒロインっていうキャラ付けと、ツンデレ美少女っていうキャラ付けっていうのは、その後ずっといろんな作品に同じようなキャラが出てくるんですよね。
上)あれは先駆けなんだ。
は)割とラムちゃんがいたりとか、うる星やつらの記号になりそうなやつは、ルーツはこれだよねっていうのはちょくちょくあるんですけど、ここまでツンデレといえばパッて一個目に出てくるようなのにしたのはエヴァが最初じゃないかな。
上)って思いますね。
は)なんかだいたい何見てもこれ綾波っぽいキャラだなみたいな、なんか土台を作った、一個作ってしまった。
上)綾波レイってすごいよね、名前がすごいネーミングだよね。綾波レイは忘れないもんね。碇シンジとかさ、惣流・アスカ・ラングレーとか忘れないもんね。
は)ちなみに綾波とか惣流とか碇って全部戦艦の名前から取ってる。
上)そうなんだ。
は)あとはですねいわゆる「セカイ系」っていう物語の原点でもあるんですよ。原点でもないか、それを広めた。エヴァ以降にかなりそういう話が増えてきて、世界の命運が主人公の心と直結するっていう話。
上)いやーなんかすごい影響与えたんですね、その、確かにっていう感じ。聞いてて全然違和感なかったし、やっぱ発見がありますね。なんとなくそのテレビアニメ版は一通り見たけど、やっぱ断片的にシーンを覚えてるだけだったから、なんかそういう影響をジャンルに与えてるんだみたいなことは知らなかったですね。
新劇場版について
は)そうですね。まあそういうその、難解だったり救いがないとか重い作品として広まってしまったから、当時の空気感を残すっていう作品としてはすごい価値が大きいなって思いますよね。ただですねその、いわゆる新劇場版、はい。あの2007年から始まる方ですね。で、その昔の新世紀エヴァンゲリオンっていうのが内面世界なのに対して、新しい方の劇場版は結構外向きなんですよね。話としてもそんなに暗くないというか、あんまり内面世界を描くとかではなくて、なんか前のやつがそういう不安感とかの物語だったのに対して、やっぱちゃんと終わらせに来てる。エヴァを、なんか卒業の物語なんですよ。
上)はい。
は)一個大人になるっていう話なので。あー終わらせに来てんなーっていう感じが。そうですね、個人的には新劇場版はあんまり面白くなかった。
上)うーん。
は)やっぱ内面世界、整っちゃってるわけですよ。こうなんかゴールに向かってる、ゴールがあるから。やっぱねエヴァってこう自己承認欲求の話なんですよ。分かってほしい、認められたいっていうのを叫ぶ話なので。なんかそういうトーンが好き、私は好きなので。というか90年代そういう話多いんですよ。
上)うーん。
は)まあそのアリ・アスター、ブゴニアじゃないけど、やっぱ時代性ってあるんですかね。90年代、無力感とかめっちゃ好き(笑)
上)90年代はちょっと全然話は変わるけど、90年代は音楽は音楽だよね。なんかまたその90年代って感じで、あってもやっぱ時代性ってあるんですかねやっぱ。
は)うん、音楽もなんかこう暗い系多いですもんね90年代。
関連作品:ラブ&ポップ
は)あとはですね、そのエヴァとぜひその空気感を味わいたいっていう人がいたら一緒に見てほしい映画で、あの庵野監督が実写で撮ってる『ラブ&ポップ』っていう作品があるんですよね。
上)そんなのあるんだ。
は)うん、多分そのエヴァの後に撮った映画だと思うんですけど、これ90年代の女子高生版エヴァンゲリオンみたいな、エヴァの内面世界みたいな。
上)庵野監督が撮ってるんだ。そうそうそう。
は)その女子高生が何者かになりたい、その援助交際とかを通して何者かになる、その認められたいっていう承認欲求を満たすけどっていう話なんですよね、ラブ&ポップ。あの、めちゃくちゃ気持ち悪い映画なんでキモってなる。
上)うーん。
は)褒めてますこれは。最高って。
上)気持ち悪い映画が見たい方は(笑)
まとめ
は)そんな感じですかね。
上)今日はなんか手前のカルチャーっぽい回でしたね。すごく勉強になりました。だいぶ手前でしたね。手前なんですけど、僕みたいに手前にいるんですけど、こういう人がするとすごくあーなるほどってなるようなあの回でした。すごくちょうどいい感じでした。
は)ちょうどよかったですね。また今後もこういった感じで手前をやっていければなと思うので。
上)手前からお願いします。
は)よろしくお願いします。ありがとうございました。
上)ありがとうございました。
