
SUMMER SONIC 2026 現地レポート|25周年、3日間のバランス
2026年8月14日から16日にかけて、SUMMER SONIC 2026 が開催された。25周年を記念した3日間開催である。
私は3日とも東京会場に行った。
終わってみて思うのは、今年はバランスが良かったということだ。レジェンドがいて、邦楽があって、洋楽があって、若手がいる。どれかに寄りすぎていない。なかでも若手の充実は、今年のサマソニを語るうえで外せないところだったと思う。
SUMMER SONIC 2026(25th ANNIVERSARY)
2026年8月14日(金)〜8月16日(日)
ZOZOマリンスタジアム/幕張メッセ(千葉市)
【この記事で触れるアーティスト】
FKA twigs / KASABIAN / KODALINE / BUMP OF CHICKEN / アイナ・ジ・エンド / 女王蜂
FLORENCE ROAD / CARDINALS / DAVID BYRNE / 電気グルーヴ / Cornelius / SUEDE
JON SPENCER / VIAGRA BOYS / THE GUEST LIST / PRETTY BLEAK / FATHER OF PEACE
L'Arc-en-Ciel / JAMIROQUAI / YUKI / .ENDRECHERI. / mgk / SOUTH ARCADE / BOY SODA / SEKOU
前日の大雨と、予定通りの開催
初日の前夜、千葉は大雨だった。
8月13日の夕方から夜にかけて記録的な雨が降り続いて、千葉県には大雨特別警報が出た。開催そのものが大丈夫なのかと思うくらいの降り方だった。
当日、交通機関に遅れや乱れが出ていることを告知したうえで、予定通り開催すると発表した。開場が遅れることもなく3日間は始まった。
そのあとの3日間は、ところどころパラパラと降る程度だった。幕張メッセという屋内が使えるぶん、フジロックのような暑さの厳しさもない。前日の空模様からすると、拍子抜けするくらい過ごしやすい3日間だった。
一日目|ストロークスを捨てて、FKA twigs へ
初日のヘッドライナーは THE STROKES である。25周年のアニバーサリーとして、これ以上ない人選だと思う。
しかし、私は観ていない。
同じ時間帯に、幕張メッセ側で KASABIAN と FKA twigs がやっていたからだ。マリンとメッセは徒歩で15分以上かかる。どちらかしか選べなかった。
KASABIAN は1曲目が「Club Foot」だった。あのイントロが鳴った瞬間に会場の温度が変わって、そのまま最後まで楽しかった。
そして FKA twigs である。初日のベストを一組挙げるなら、迷わずこれになる。
観るのは2回目で、前回は2015年のフジロック、ホワイトステージだった。あのときも十分すごかったが、今回は世界観の作り込みが段違いだった。ダンスがとにかく強い。ギャスパー・ノエの映画『CLIMAX』を、そのままステージに立ち上げたような、そんな時間だった。音楽を聴きに来たのに、映画を1本観たあとのような、なんとも言えない満足度だった。

この日、立ち会っておきたいステージがもう一組あった。KODALINE である。
KODALINE は2025年10月に解散を発表していて、日本での公演はサマソニの東京と大阪しかなかった。単独公演はなし。解散前の最後の来日ということになる。演奏時間は決して長くなかったが、やはりメロディの強いバンドだということはあらためてよく分かった。ラストという言葉に寄りかからなくても、単純に良い。最後に見る機会があってありがたかった。
初日はほかに、FLORENCE ROAD、CARDINALS、アイナ・ジ・エンド、女王蜂、BUMP OF CHICKEN を観ている。マリンに入ったのはバンプのときだけで、そのあとメッセに戻った。
今年は前夜祭の SONICMANIA がなく、代わりに14日と15日の2夜で MIDNIGHT SONIC が組まれていた。初日の深夜は Steve Aoki プロデュースの回で、新しい学校のリーダーズときゃりーぱみゅぱみゅを観た。特にきゃりーぱみゅぱみゅは深夜を意識してか、ノンストップのテクノバキバキセットリストだった。(中田ヤスタカが作ったリストらしい)
二日目|幕張メッセから出なかった一日
二日目のヘッドライナーは Ado だったが、こちらも観ていない。
この日に観たのは、THE GUEST LIST、GOOD NEIGHBOURS、FATHER OF PEACE、VIAGRA BOYS、PRETTY BLEAK、JON SPENCER、SUEDE、Cornelius、電気グルーヴ、DAVID BYRNE の10組。全部、幕張メッセの MOUNTAIN と SONIC である。
サマソニは、フジロックと比べるとステージ間の距離が近い。メッセの中だけで動いていると、休憩がほとんど発生しない。ひたすら音楽を聴きまくる一日になる。良くも悪くも、である。
二日目のベストはなんと言っても DAVID BYRNE だった。
ステージの上に、機材が置かれていない。あの『アメリカン・ユートピア』の作りが、そのままフェスのステージに持ち込まれていた。全員が楽器を持って歩き回りながら演奏する。映像で観たものが目の前で起きている。
もうひとつ、この日の記憶に残っているのが電気グルーヴだ。
裏でサカナクションが演奏していた影響もあってか、SONIC STAGE はするすると前に行けて、ほぼ最前あたりで観ることになった。裏が強いアクトのときに逆側で得をするのも、フェスでしか起きない種類の出来事である。
JON SPENCER も個人的に大きかった。ずっと好きなバンドで、観るのは2回目になる。最初から最後までブルース・ロックンロールでゴリゴリと押し切っていく。ジョンスペだ、としか言いようがない時間だった。

三日目|ラルクとジャミロクワイのあいだ
三日目は、痛い被りがあった。L'Arc-en-Ciel と JAMIROQUAI である。
L'Arc-en-Ciel はマリン、JAMIROQUAI はメッセの MOUNTAIN。タイムテーブルが出た時点で分かっていたことなので、覚悟のうえで動いた。ラルクを終盤まで観て、そこから移動して、JAMIROQUAI は中盤から観る。そういう組み立てにした。
ラルクは中学・高校のころに聴いていたバンドだ。青春時代そのものである。セットリストは新旧いろいろなヒット曲が並ぶ内容で、かなり満足のいくものだった。3曲目の「NEO UNIVERSE」は個人的に好きな曲なので、あそこで来たのは嬉しかった。
そこから幕張メッセまで、歩いて15分から30分ほどかかる。シャトルバスはあるが、バスに乗るための列がしっかり伸びるので、結局歩くのが早い。ここの動線はもう少し良くなると、サマソニはもっと良くなると思う。
JAMIROQUAI は満員だった。身動きが取れないほど人が入っていて、それでも観る価値はあった。ジェイ・ケイの動きが全盛期に迫る勢いで、ひたすら踊らせにくる音楽が続く。中盤からでも十分に持っていかれた。
三日目、マリンで観たもう一組が YUKI だった。
ちょうど雨がかなり降ってきたタイミングだったのだが、それすらステージ演出のように見えた。「ドラマチック」から始まって「WAGON」で終わる7曲。2000年代のヒット曲で固めた構成で、これぞYUKIという並びだった。
.ENDRECHERI. については、少し欲が残った。もっとディープなファンクができる人だと思っているので、今回はややアイドル寄りの見せ方だったように感じた。かっこよかったことに変わりはないのだが、あの人のファンクをもっと浴びたかった。
このほか三日目は、BABYMETAL がキュレーションした SONIC の METAL 編成で mgk と SOUTH ARCADE を、MOUNTAIN で BOY SODA と SEKOU を、Spotify STAGE で HALCALI を観ている。

名前を知らないバンドと出会える3日間
3日間を通していちばん強く残ったのは、若手と新人の充実だった。
事前に名前を知らなかったアーティストを、今年はかなりの数観た。そして、そのほとんどが良かった。
二日目の THE GUEST LIST は、往年のUKロックを感じさせるバンドだった。レディオヘッドやオアシスを思わせる曲があって、あの感触がかなり好みだった。マンチェスターの5人組で、サマソニの時点ではまだファーストアルバムも出していない。デビュー作『Something Real』が出たのは、この直後である。
初日の FLORENCE ROAD は、ザ・ラスト・ディナー・パーティーを彷彿とさせるガールズ・インディーロックだった。あとで知ったのだが、実際にラスト・ディナー・パーティーの北米ツアーで前座を務めていたアイルランドのバンドで、今回が初来日だという。似ていると感じたのも当然だった。
三日目の BOY SODA と SEKOU は、どちらもR&Bである。次世代を担うR&Bアーティスト、という言い方がいちばん近い。かっこよかった。
FATHER OF PEACE も観られてよかった。SNSでかなり話題になっていたバンドで、実際に音を浴びると、プログレッシブ・ロック寄りの手触りがある。キング・クリムゾンのカバーまでやっていて、演奏力が単純に高い。
このほか、初日の CARDINALS、二日目の PRETTY BLEAK、三日目の SOUTH ARCADE も良かった。
若手が多いということは、初来日も多いということでもある。日本を気に入ってくれているなという気持ちが伝わってくるステージが目立った。

25周年ブースで、行った年を数えた
音楽以外でいちばん良かったのは、25周年のブースだった。
歴代のラインナップとポスター、当時の写真が並んでいて、25年ぶんを順番に見て回れる。自分が行った年のところで足が止まる。誰を観たか、どのステージにいたかを思い出す。行っていない年は行っていない年で、この年はすごいな、と眺めることになる。ひとつのフェスが25年続くと、こういう展示が成立する。
これはフジロックにもぜひやってほしい。
ブースの周りには、リクライニングシートと芝生の休憩エリアがあった。ここも良かった。次のステージまで少し時間がある、というときにここで体力を回復できた。
企業ブースも、イケてる企業が集まっていた。

3日間を終えて|レジェンドと、邦楽と、洋楽と、若手
サマソニはフジロックと違って、夜はちゃんとホテルで寝られる。今年は3日間とも幕張近辺のホテルに泊まった。フジロックのようにテントで3泊するのとは、体力の消耗の質がまるで違う。
運営面では、物販が良かった。アプリで事前に予約できるようになっていて、かなりスムーズに購入できた。トイレも食事も、3日間を通してスムーズだった。混雑で困った場面もほとんどなかった。
レジェンドがいて、邦楽があって、洋楽があって、若手がいる。今年のサマソニは、そこがとても良かった。3日間まったく退屈しない。今年のラインナップにはいろいろな音楽を選んで聴ける、アーティストの厚みがあった。



