『ラスト・サバイバー』映画レビュー|飛行機から見た崩壊後の世界
この映画をひと言で言うと
崩壊後の世界を淡々と進むロードムービー。飛行機から見下ろす山と崖の絵面は綺麗だ。ただ、原題が The Dog Stars でありながら、犬が主人公が旅立つための装置で終わっている印象を受けた。
作品の背景・前情報
監督 | リドリー・スコット |
|---|---|
脚本 | マーク・L・スミス |
原作 | ピーター・ヘラー『The Dog Stars』(2012年) |
出演 | ジェイコブ・エロルディ(ヒッグ)/ジョシュ・ブローリン(バングリー)/マーガレット・クアリー(シーマ)/ガイ・ピアース(ジャック) |
配給 | 20世紀スタジオ/ウォルト・ディズニー・ジャパン |
公開 | 2026年8月28日(米・日 同時公開) |
上映時間 | 118分 |
あらすじ | パンデミックにより人類の大半が死滅した世界。パイロットのヒッグは愛犬ジャスパーと、軍人あがりのサバイバリスト・バングリーとともに、空港跡地に立てこもって暮らしている。あるとき受信した無線信号をきっかけに、ヒッグは希望を求めて飛び立つ。 |
原作はピーター・ヘラーが2012年に発表した小説。邦訳は2015年に『いつかぼくが帰る場所』として早川書房から出ており、映画公開に合わせて『ラスト・サバイバー』に改題された。筆者は原作を読んでいない。
コロナ以降でこういったパンデミックの跡を描くというのは増えつつあり、多少リアリティというか感じるところはあった。
邦題の『ラスト・サバイバー』というところから感じる映画像とは、ちょっと違った。もっとアクション寄りの作品かなと思っていたが、実際は結構静かめで、淡々と話を進めていく。
崩壊の理由は描かれない。『ドラゴンヘッド』と同じ作り
観ている間、日本の漫画を思い出した。望月峯太郎『ドラゴンヘッド』と、さいとう・たかを『サバイバル』。世界が崩壊した後の世界を描く作品は日本にもいろいろあるが、確かにその焼き直しというか、もうそのままだなというところだ。
特に感じたシーンは、暴徒化した人たちが体にペインティングをしている。それがもう完全に『ドラゴンヘッド』だ、と思った。
似ているのは絵面だけではない。『ドラゴンヘッド』も、なんで崩壊したかっていうところが描かれない漫画だ。描かれるのは、その後の人がどう狂っていくかっていう話になる。本作も同じで、パンデミックの描写、なぜそうなったかはそこまで描かれない。
自然災害が起こって滅びていく、アクション系のディザスター映画というよりかは、ゾンビもののその後の世界に近い感触が強かった。滅びの瞬間ではなく、滅びた後に残った人間を見る映画になっている。
崩壊後の人を描くので、結構ロードムービー風にも見れる作品だ。
山と崖の絵面は綺麗。だが暗視スコープは新しくない
自然の描写は綺麗だった。特に山や崖を飛行機から見る絵面は、かなり綺麗だ。
主人公のヒッグはパイロットなので、移動手段が飛行機になる。地上を歩くロードムービーでは出てこない高さの画が入ってくる。人がいなくなった地球がどれだけ広いかは、この高さからしか見えない。
一方で、暴徒化した人たちが攻めてくるところの描写は、結構『ランボー』みたいな感じでも見れた。スコープから覗く映像や、暗視カメラの映像も出てくる。別にもう今となっては新しい絵面という感じでもないが。
製作費は1億1000万ドルとある。綺麗だと感じたのが、どれも自然を撮った画のほうだったというのは、書いておきたい。
The Dog Stars の犬が、旅立ちの装置で終わっている
原題の The Dog Stars は犬の星座ということだと思うが、おそらく愛犬のことだろう。実際、愛犬のジャスパーは話のキーになる部分ではある。
結局この犬も、主人公が旅立つための装置としてしか機能していないように感じた。別のものにも全然置き換えられるのではないか。もうちょっと深く掘ってもよかったのかなとは思う。
話自体もすでにありふれている内容だったので、実際には退屈に感じるところもあった。もう一歩何か展開があったら面白かったのかな、というところで止まっている。
終末ものはかなり多いし、パンデミックの後を描いた作品もかなり数はある。その中で、じゃああえてこの1本を残すというのはなかなか厳しいだろう。終末物の一本としても、ちょっと残りづらいんじゃないかと思う。
ただ、ポップコーン・ムービーとして見るのであれば、別に悪くはない。ジェイコブ・エロルディやジョシュ・ブローリン目当てなら成立はするし、一つのロードムービーとしては見れる。


