Porter Robinson SMILE! :D World Tourライブレポート|32曲、現在地の集大成

Porter Robinson SMILE! :D World Tourライブレポート|32曲、現在地の集大成

2025年2月14日、福岡UNITED LAB。

Porter Robinsonの来日公演を観た。

前回観たのは2015年のサマーソニック。10年ぶりの再会は、32曲・3ブロック構成という、現時点での集大成とも言えるステージだった。

そして今回のツアーは、エレクトロDJスタイルではなくバンド形態での演奏という点でも、これまでとは一線を画するものだった。

Porter Robinsonとは何か

Porter Robinsonはアメリカのエレクトロニック・ミュージックプロデューサー/アーティスト。

1stアルバム『Worlds』(2014年)で注目を集め、その後『Nurture』(2021年)、そして最新作『SMILE! :D』(2024年)へと作品を重ねてきた。

日本のアニメ・ゲーム文化から強く影響を受けていることを公言しており、楽曲にはその感性が色濃く反映されている。日本人のリスナーの耳にすんなりと入ってくるポップさと聴きやすさは、そうした背景と無関係ではない。

10年ぶりに見えたもの

2015年のサマーソニックで観た頃は、アニメーションの影響が前面に出た演出が印象的だった。

今回も日本のアニメ文化の影響は随所に感じられる。ただ、10年を経て、その影響の出方が変わっていた。より洗練され、分かりやすくなり、楽曲としての深みが増している。アニメ的な感性を起点にしながら、そこから先に進んでいる印象だった。

アーティストが10年でどう変わるか。それを同じ目で確認できるのが、再来日公演の面白さだと思う。

Porter Robinson
UNITED LAB

3ブロックという設計

今回のセットリストは、アルバムごとのブロック構成だった。

最初に最新作『SMILE! :D』のブロック、続いて『Nurture』、そして最後に『Worlds』という順序で、時代を遡るように進んでいく。32曲という曲数でも退屈しなかったのは、この構成が機能していたからだと思う。

「この頃の楽曲」という文脈で聴けるブロック構成は、ファンとして非常に聴きやすい。自分の記憶と楽曲が結びついている時代のサウンドが、まとまって鳴る体験だ。

【SMILE! :D ブロック】
1. SMILE! :D
2. Smile(Nat King Cole cover)
3. Knock Yourself Out XD
4. Perfect Pinterest Garden
5. Kitsune Maison Freestyle
6. Mona Lisa
7. Easier to Love You
8. Is There Really No Happiness?
9. Russian Roulette

【Nurture ブロック】
10. Nurture+
11. Wind Tempos(Shortened)
12. Musician
13. Something Comforting
14. Get Your Wish
15. Everything Goes On
16. Unfold
17. Trying to Feel Alive
18. Mirror(Piano + Guitar only)
19. Mother(Piano only)
20. Clarity(Zedd cover / Piano only + crowd vocals)
21. Look at the Sky

【Worlds ブロック】
22. Worlds+
23. Sea of Voices(Shortened)
24. Divinity
25. Fresh Static Snow
26. Hollowheart
27. Language
28. Goodbye to a World
29. Sad Machine
〜encore〜
30. Shelter(Porter Robinson & Madeon)
31. Cheerleader

SMILEブロック:まさかのバンドスタイル

最初のブロックで、予想を外された。

『SMILE! :D』はエレクトロ・ダンスミュージックの延長線上にある作品だと思っていた。DJスタイルでの演奏を想定していたが、ステージに現れたのはバンド編成だった。最新作でバンド要素を全開に取り入れていたことは知っていたが、ライブでもその形で見せてくれるとは思っていなかった。

「今はこういうフェーズにいるんだ」という発見として、この日最初の印象的な場面だった。

Worldsブロック:最もよく聴いた時代の音

3ブロックの中で最も印象に残ったのは、最後の『Worlds』ブロックだ。

1stアルバム『Worlds』は、自分が最もよく聴いていた作品でもある。「Sea of Voices」「Divinity」「Language」「Goodbye to a World」「Sad Machine」。これらが連続して鳴る時間は、単純に楽曲の完成度の高さを再確認する時間でもあった。

10年前の作品が、2025年のライブで鳴っても色褪せていない。

日本文化との接続、そしてShelter

アンコールの「Shelter」は、Porter RobinsonとMadeonによる楽曲で、アニメ的な世界観を持つミュージックビデオでも知られている。会場の盛り上がりはこの日最大級だった。

福岡UNITEDLABという場所

今回初めて足を運んだ会場だった。

大きすぎない規模で、新しい施設特有の清潔感がある。雰囲気は良かった。Porter Robinsonのような、エレクトロニックとバンドが交差するスタイルのアーティストには、この規模感が合っていたと思う。

集大成の先に何があるか

32曲、退屈する瞬間がなかった。

3ブロックで時代を遡りながら、現在地を確認するようなセットリストだった。『Worlds』から『Nurture』、そして『SMILE! :D』へと進んできたPorter Robinsonが、今この形でステージに立っている。その全体像を一夜で見せてもらった感覚がある。

東京公演では、Porter Robinsonがファンを公言しているGalileo Galileiとともに、アニメ『あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない』のオープニングテーマ「青いしおり」を演奏したという。福岡公演でのそれはなかったが、日本の音楽・アニメ文化への愛情が本物であることは、このツアー全体を通じて伝わってくる。

日本人のリスナーが彼の楽曲を自然に受け入れられるのは、影響の矢印が双方向に向いているからかもしれない。

集大成のステージを経た先に、次の作品がどうなるか。それが今後の楽しみとして残った。

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