CSS 来日公演 2025ライブレポート|20代の自分に、さよならを言いに行った
2025年1月23日、梅田クラブクアトロ。
CSSのフェアウェルツアー、12年ぶりの来日公演を観た。
フェアウェルとは解散のことだ。「見ておきたかった」という感情が、この夜に向かわせた動機のほぼ全てだった。
CSSとは何か
CSS(Cansei De Ser Sexy)。ブラジル出身のディスコパンクバンドだ。
2006年のファーストアルバム『Cansei de Ser Sexy』で世界的な注目を集め、その後も独自のサウンドを展開してきた。
今回のツアーはフェアウェル、すなわち解散を前提とした最後の来日公演となる。前回の来日から12年が経っていた。
ディスコパンクという唯一性
大学生の頃、CSSは自分の新しい音楽の入口のひとつだった。
パンクのエネルギーを持ちながら、徹底的にダンサブルである。2000年代中盤、LCD Soundsystemや!!!、Death From Above 1979といったバンドとともに盛り上がったディスコパンクのシーンの中で、CSSはひときわ異質な存在感を放っていた。音楽的な意味での「他にいない」という感覚は、若い頃の聴き手には特別に刺さる。
今もそうだと思う。CSSのような元気でキュートなディスコパンクバンドは、2025年のシーンにほぼ存在していない。あの頃のサウンドは、あの頃のCSSにしかなかった。
おととしのフジロック2023でYeah Yeah Yeahsを観た。大学生の頃に好きだったが、当時は生で観られなかったバンドだ。CSSも同じ文脈にある。見たかったけど見られなかったものを、時間をかけて回収している感覚。それ自体が、今の自分にとっての音楽体験の一形態になっている。

梅田クラブクアトロという正解
クラブクアトロは比較的狭い箱だ。
この日のCSSには、その狭さが完全に合っていた。ディスコパンクというジャンルの持つ熱量と一体感は、大きな会場では希薄になる。観客との距離が近いからこそ、ステージ上のエネルギーが直接届く。
CSSのようなバンドが、この規模の会場で観られること自体が貴重だった。

ステージの記憶
18曲、あっという間だった。
曲が短い。そのテンポで次々と展開するセットリストは、息をつく間もなく進んでいく。「Music Is My Hot Hot Sex」のイントロが流れた瞬間、前半でのテンションの上がり方は、ファーストアルバムを何度もリピートしていた頃の感覚を思い出す。
ファーストアルバムの収録曲がライブで鳴るたびに、当時の記憶が重なった。「Let's Make Love and Listen to Death From Above」も良かった。そしてラストの「Alala」。締めとしての完成度が高く、終わり方として申し分なかった。
セットリストは解散を前にしたバンドが作った18曲として、誠実な選曲だったと思う。
1. CSS Suxx
2. I Love You
3. Music Is My Hot Hot Sex
4. Hits Me Like a Rock
5. Alcohol
6. Move
7. Dynamite
8. Fuck Everything
9. Hollywood(Madonna cover)
10. City Grrrl
11. Teenage Tiger Cat
12. Red Alert
13. This Month, Day 10
14. Let's Reggae All Night
〜encore〜
15. Let's Make Love and Listen to Death From Above
16. I Wanna Be Your J.Lo
17. Art Bitch
18. Alala
Lovefoxxxがステージを降りた
ライブ後半、ヴォーカルのLovefoxxxがステージを降りてきた。
一人ひとりにハグをして回っていた。順番に、丁寧に。ステージパフォーマンスそのままの人だった。可愛らしくて、気さくで、「ありがとう」という感情が言葉ではなく、その動作全体から伝わってきた。
フェアウェルツアーだからこそ、という場面だったと思う。

終わってしまった、という感覚
ライブが終わった直後、寂しかった。
これでもう観られないのか、という感覚が先に来た。また機会があれば観たいと思うが、解散であれば次はない。
ただ、それと同時に、何か消化できたという感覚もあった。20代の自分との別れ、とでも言えばいいか。あの頃に好きだったものを、大人になってから生で体験する。それ自体がひとつの区切りになった。
CSSを観た夜は、そういう夜だった。
