rockin'on sonic 2025 現地レポート|第1回、年明け洋楽フェスの記録
2025年1月4日・5日。幕張メッセで開催された rockin'on sonic 2025 に参加してきた。
年明け早々に開催される洋楽中心のフェス。その第1回である。
フジロック第1回(1997年)やサマソニ第1回(2000年)に立ち会えなかった世代にとって、「新しいフェスの始まり」に居合わせる機会は、そう多くない。
rockin'on sonicとは何か
発表は2024年夏。rockin'onとサマソニの運営が組んだ、年明けの洋楽フェスという位置づけだ。
コンセプトとして「長い洋楽リスナー経験のある人たちが親しんだ信頼度の高いアーティストと、若いリスナーに支持されコア層からも評価されている若手アーティスト」という方針が発表時に示されていた。ラインナップはそのコンセプト通りだったと思う。
PULP、PRIMAL SCREAM、THE JESUS AND MARY CHAIN、MANIC STREET PREACHERS。2000年代のフジロックやサマソニが得意としていたラインナップ、という表現が近い。かつて存在したHostess Club Weekenderや、サマソニのMIDNIGHT SONICの文脈に連なるフェスとも言えるだろう。近年のフジロックやサマソニが若い世代へシフトしている印象がある中、こういった往年のコアなファンが多いアーティストを集めたという判断は、とてもありがたい。

DAY1:PULPと27年ぶりの再会
今回のラインナップの中で、個人的に最も期待していたのがPULPだった。27年ぶりの来日公演。ブリットポップを代表するバンドのひとつであり、生で観るのは初めてだった。
1曲目「I Spy」から会場の反応は高く、すぐに盛り上がった。
最も印象に残っているのは2曲目「Disco 2000」だ。イントロが流れた瞬間、「あ、本物のPULPだ」という確信が来た。記憶の中にある音源が、目の前で鳴っている感覚。
ジャーヴィス・コッカーの存在感は、その場にいないと分からない種類のものだった。佇まいと動きでステージが成立している。セットリストは代表曲を中心に構成されており、来日公演としての誠実さを感じた。
DAY1:PRIMAL SCREAMの終盤盛り上がり
PRIMAL SCREAMは2022年のソニックマニアでも観ていたが、深夜でお酒も入っていてあまり記憶がない。
今回は日中の開催だったこともあり、集中して観られた。
終盤の流れが特に印象に残っている。「Loaded」から「Moving On Up」、「Country Girl」「ROCKS」へと続く展開で、完全に持っていかれた。
「あの頃」の音が、現在進行形で機能している場面だった。

DAY1:WednesdayとTHE SNUTS
若手の中では、Wednesdayが個人的に印象に残った。THE SNUTSも含め、ラインナップのバランスとして若手と往年のアクトが共存していたことが、このフェスの設計の面白さだと思う。
DAY2:WEEZER、ブルーアルバムの再現
DAY2で最も記憶に残ったのはWEEZERだった。
今回はブルーアルバムの再現というコンセプトで、知っている曲が次々と流れてくる。後ろの映像も含めて、WEEZERらしい楽しさがステージ全体に溢れていた。
終盤の「My Name Is Jonas」から「Buddy Holly」「Surf Wax America」「Say It Ain't So」への流れは圧巻だった。ブルーアルバムの代表曲が怒涛のように続く時間で、会場全体がその空気に包まれていた。
DAY2:その他のアクト
THE JESUS AND MARY CHAIN、MANIC STREET PREACHERS、THE LEMON TWIGSはいずれも過去に観た経験があった。今回は環境の良さもあってか、これまでより良く聴こえた。同じバンドでも、観る状況によって受け取り方が変わるというのは毎回感じることだが、今回は特にそれを意識した。
MONOBLOCも良かった。2000年代のドミノレコーズ、アークティックモンキーズやフランツ・フェルディナンドを感じさせるUKロック。こういったバンドが今のシーンにいることは、素直に嬉しい。
1月の幕張、という環境
フジロックやサマソニに慣れた身からすると、人は明らかに少ない。
ただ、それが不満にはならなかった。飲食にほぼ並ばず、座れる場所が充実していて、1月の室内開催というのもあり暑くも寒くもない。過ごしやすさとしては、国内フェスの中でも上位に入る環境だった。
客席を見渡すと、全員が楽しんでいる様子で、自由な空気が会場に満ちていた。混雑がないぶん、各自が自分のペースでフェスを動いている感覚がある。
一方で、人の少なさは集客の課題と表裏一体でもある。なお、カウントダウンジャパンの設営をそのまま活用することでコストを抑えているという話もあり、開催形態としての合理性は感じる。ただし今後このフェスが継続していくためには、動員の問題は避けられない。若い世代に寄せすぎるとフェスの性格が変わるリスクもある。洋楽を聴く人口が増え、こうした場が自然に必要とされるようになることが、本来の理想だと思う。



まとめ:第1回の価値
フジロック第1回にもサマソニ第1回にも間に合わなかった。rockin'on sonicの第1回には、立ち会えた。
今後このフェスが続くかどうか、大きくなるかどうかは分からない。ただ、UKロックを軸にしたこのフェスが2025年の年明けに存在した、という事実は記録として残る。会場を埋めた観客全員が楽しんでいた、という光景も。
洋楽リスナーとして、こういった場がこれからも続いてほしいと思う。その入り口のひとつとして、このフェスが機能してくれるとしたら、第1回の意味は十分にある。


